【金魚すくい計画段階】
●そもそも、何故?に金魚すくい屋に至ったかといいますと・・・
うちの農協、JAですな、では毎年収穫感謝祭みたいな事をしています。
採れたて朝取り野菜の破格値即売会とか、農産加工品の叩き売りとか、小学生の図画書道コンクール展とかその他模擬店とかです。
ぶっちゃけ、これらのイベントで集客しといて一斉大売出と称し電化製品の大即売会をするため・・・と言っちゃあ、みもふたもないか。
で、私はもともと金融の担当でして、イベントでは毎月積立の顧客と住宅ローンの顧客に洗濯洗剤を超破格値でお譲りする、そんな「祭り」とはあまり言えぬコーナーの責任者を数年していました。
昨年の祭りのとき、余りに暇だったので、テキヤのおもちゃ屋でモデルガン(つっても250円のバネ発射)を買い、洗剤売りのテント脇で遊んでいました。
遊びの延長で、釜山で実弾射撃したときのことを思い出し、パソコンでそれらしい的紙を作りダンボール箱に張り「射的屋」と称し張り出したところ、以外や1日ちょっとで5,000円を越える売上。
来年はもうちょっと準備し足して、反省会(コーナー担当者は10名近くいて、毎年、殆どが私のポケットマネーから捻出していました)のタシにしようと話していました。
ところへ、先月来の違法改造エアガンのニュース。こりゃあ無理。いろいろ言われかねんなあ。
それでも何か目新しいイベントをみんなでやりたくて、閃いたのが金魚すくい!
実は数年前まで別のコーナーで金魚すくいをやっていたことがあり、エアーポンプなど資材がいくらか残っているはずだったのです。
それに農協の金融部門(近頃はJAバンクなんてことを言っていますが)のオリジナルマスコットは『ちょきんぎょ』。知名度アップと言う大儀もたつし。
●予算をたてるにあたって・・・
まず、以前実施していた頃の資料をひもとくと・・・なになに、金魚を地元の卸売業者で購入して単価が@35円。高っ!
モナカ代、袋代、カルキ抜きetc.etc.・・・反省会のタシどころじゃねー!
で思案の結果インターネットを検索し、運良くプニさんのHPにたどり着いたのです。
単価もさることながら、金魚すくい屋のアイディアやら体験談を参考にさせてもらいました。
鹿児島では、夜店でも紙ポイは珍しいんじゃないかな。ほとんどモナカなんです。
実際、紙は@9円、モナカは@5円ぐらいなんですが、紙のほうが雰囲気出そうなので紙ポイ使用にしました。
金魚の数もかなり迷いましたが、残ってもしょうがないので最小セットの400匹。
ポイは200本。初めてだったので、かなり消極的な姿勢です(汗っ笑)
あみ、エアーポンプ(2本出しが2台)と持帰り袋200枚程度が、昔の物が残っていたのが助かりました。
バケツ、ひしゃく、プール(水槽)等は各人の家庭にあるものでどうにかなるだろうといういかにも素人考えでスタートしました。
締めて、出費は金魚とポイと送料の1万円弱。予算的にも業務本体のイベントから切り離すためと、みんなの意志結束のため、コーナーの仲間9人が千円ずつ出資して基金設立。
イベントは土日の二日間、金魚がなくなると痛いので、持帰り数は制限することに。
代わりに貯金景品の「ちょきんぎょグッズ」をあげることにしました。
ちなみに「ちょきんぎょ」をマスコットに使い始めてちょうど10年の節目に当り、倉庫には10年分の余り端のいろんな景品(ポケットティッシュやら携帯ストラップやらマウスパッドやら温度計やら)が。早い話、倉庫整理も兼ねていたことになります。
もちろん、すくえなくても2匹はあげることと、家で金魚を飼う自信のない人には代わりに景品を上げることにしました。
ちょっと高いかなーと思いつつも、基本単価は200円にしました。2本同時とか2回目の場合は350円、3本で500円、5本で800円です。
持帰りは最高でも5匹、たくさんすくえたら、数を抑える代わりに姉さんを足してあげたりしました。うちの場合は制限を加えた関係で、特に紙破りは必要なかったのです。あくまで見栄えのための姉さんなのです。
持帰る人で、3匹平均ぐらいかな、1~2割程度は持帰らないだろうとの予想でした。
目標売上は170人(本)ぐらいと予想。10時~17時と9時~16時の都合14時間で1時間当り13.5本。これぐらいはいけるだろうと。いかなきゃ、他コーナーへ押し売りすりゃなんとかなるだろうと。何の根拠もないまったくのとら皮スタートです。
ふむふむ、売上単価を最低の160円でみても総売上27,200円。利益が1万7千強か(ニヤリ)
【準備段階】
●準備
工夫らしい工夫は大したことしませんでしたが、「金魚屋の息子」のアイディアにあったランキングボードはいい手だなと思い導入することに。
ホームセンターに走り材料の吟味。結果、化粧板にアクリルボードで10枠に仕切り目まぐるしいランキングの入れ替わりに対応できるようにしました。見た目もいいし、多少の雨でもへっちゃらですし。ただし、これだけの材料代でなんと6,500円(鼻血)。主役の金魚より高い物についたのでした。
ランキングボードは普段の営業で金融商品の紹介資材に流用できると自分に言い聞かせ、無理から本業経費で決済。監査役も分かってくれるだろう(?)
でも知ってる子が載ってると挑戦してくる子や、孫が載ってると訪ねてくるおばあちゃんがいたりとやはり作って良かったです。
その他には金魚とちょきんぎょをあしらったのぼり旗。
それとメル/DIさんを参考に簡単な飼育説明書を作りました。
もちろんカルキ抜きを付けて。
これもお母さん方に好印象。
みなさん本当にサンキューです。
【実行段階】
●作戦決行
場所は駐車場を閉鎖した室外ですが、テントはあります。
室内と室外両方を使いイベントを行いますが、うちのテントはいつも室外会場の入り口と室内メイン入り口のちょうどまん前、いわゆるベストポジション。
すぐそばに来場者全員対象の無料抽選コーナーがある正に格好の配置です。
ただ洗剤売りが幅を取るので(900個ぐらい売りまくります)、金魚すくいはどうしても南西向きに配置せざるを得ず、気温次第で午後の日差しが気になるところでした。
特に11月初旬の鹿児島北部は、汗ばむような暑い日と、早霜が降りるような寒い日が交互に来るのです。
当日の土曜も午後は暑く、金魚たちも水槽の日陰を求めているようでした。日曜は午後多少雨がぱらついたもののそれほど寒くなく、子供たちは濡れるのも構わずすくいまくっていましたけど。
建物が近いことから電源取りも容易でした。あっ電源と言えば、二日間とかするなら当然エアーポンプは2台以上必要ですね。黒デメとか次の日の分を別に取り置きしてないと、バランス悪くなりますし、きんぎょの生きがいい事はすくいにくいのは確かですが、持帰って元気に育ちますよと逆に売り口上にできますからね。
「本場奈良から昨日直送されたばかりで、どの子も元気ですよ」と説明したら大人の方の受けがよかったです。
プールは結局、プラスチックのコンテナボックスにしました。使わない食器や衣服をたんすにしまいこむ、蓋付き半透明のあれです。60×80cm高さが15ぐらいに水の量を加減して2つ並べました。
120匹くらいの取り置きも同じやつに入れときました。蓋があって重宝しました。
袋はもともとあったやつですが多分4号くらい。個人的には小さいよりは大きいほうが金魚のためにいいかな。5匹くらいまではこれで充分でした。
開始直後、スタッフの一人に通りがかりの子供曰く「200円はボッタクリだよねー」とのこと。
うーん、ま、やれるだけやってみよう。早い段階でのダンピングも辞さず
・・・。
最初はかなりぼちぼちといったところでしたが、一人のスタッフの子供が友達二人と来店参戦。
特別な便宜を図ったわけでもないのですが、彼らが2回3回と挑戦するうちに、通る子供が引き寄せられ百円玉を出して列になり始めました。
頼みも狙いもしないのにサクラ効果が。
Good job!綾澄。
初日の最高記録は7回目挑戦で綾澄君(小五)の9匹。
売上高1万7千円。すでにゲインラインは突破。
明日がメインだけにどこまで伸びるか楽しみ。
でも、見た感じ金魚が激減したような・・・。
ポイは半分以上残っているけど。
正確な残数を数えようかとも思ったけれど、金魚が傷みそうだし、めんどくさいし(こっちが本音)。
いざとなったら@35円を買いに走ればいいやと、また計画を崩しそうな
適当な考えで金魚をしまい初日終了。
異郷の地(水)で二晩を過ごした金魚が心配でしたが、どこ吹く風かメチャメチャ元気な金魚たち。
金魚に元気さに引っ張られスタートを切った二日目は、多少冷え気味の曇り空でしたが、ステージイベントに出演した幼稚園児の団体や小中学生が前日より圧倒的に多くなかなかの賑わい。
客が全く0という時間帯が殆どなく、昼食も食べそびれるほどでした。
コーナー全体では男子5女子4の9名。しかし、女子はほとんど洗剤売り。男子1名も洗剤を袋に詰めたり、配布用のゴム風船を膨らませたりと大忙し。
ちょきんぎょの大掛かりな着ぐるみもあって、男子2名が交代で汗だく。
しかもこの最中にそれぞれのお客さんが電化製品買いにきて、そちらのほうへもちょくちょく顔出さないといけないし、けっきょく金魚すくいの実働スタッフ数は1.5人平均くらいでした。
一日目はともかく二日目はそりゃあ昼飯もとれません。
しかし、なかなかこちらが期待するほど記録が伸びない、というか皆さんすくえない。
確かに紙は5号で簡単には破れないんですが、金魚が泳ぎまわるのをみんな追いきれず、ポイで捕獲する前にザバッと水ごとすくいあげちゃう。
ランキングが動かねえ。
目立ったのは、ちっちゃい子が思い切りよく少し破れながらも1匹すくった後、見かねたお母さんが取り上げてすくってあげようとするけど、水中でまごまごして傷を広げるパターンだな。
よっぽどエアレーション切って、金魚をアップアップの状態にしようかとも思ったけど、持帰ってすぐに死ぬのが怖くてできなかった。
水深も9cmでそこそこだし、なんといっても水深は余り関係ないような気がするんだけどなー。
そんな中、朝一番の幼稚園児の団体さんが去ると同時に現れた一人の少年。
5本注文して妹に1本渡すと、おもむろに黒デメの大き目のやつをさっと5匹。
妹が小赤を5匹すくう(これも結構な)のを見て、2本目は小赤に転換、9匹、早くもトップタイに。
むむっできるこやつ。
3本目は凄かった。
魔法がかかったように金魚がポイに吸い付いて離れない、暴れない。
次々に狙った金魚を躊躇うことなく壁際に追い込むと、機械のようにすくい上げる。
あっという間の13匹。しかも小憎らしいことに大して喜んでいる風でもない。
ほんとに小憎らしい。
しかも何か格好がつかない。
だって私のガキだから・・・。
何て事すんだー!ヤラセみたいに思われるじゃないかー!
泣く泣く5本目は取り上げました。
あまりにとんでもない記録を出して、2位とかけ離れすぎたらみんなやる気を失いかねない。
思ったけど、コツはすくう技術より、おとなしそうな(弱ってる?)金魚をすばやく見つけることなのかな。
でも黒デメも普通にすくってたよなー。
以後も客付きは順調で、13時過ぎには金魚も少なくなり、プールも一つに。
ここらで金魚の残りよりも・・・ポイが足りない!気が付けば残り10本。
それもとっととなくなり、もういいかなと思ったけれど、ラスト2時間は残っていたモナカで代用しました。モナカでもなかなかすくえてないようでしたが。
5.成績発表
総売上高 46千円! 目標をはるかに超えました。もっとも最後に15匹くらい残ってて、常務他に良かったらお土産にとあげたら、反省会のタシニしろとくれた3千円も加えてですが。
金魚の代替品の貯金景品を自由に使えたことと、持帰り袋やエアーポンプを買う必要がなかったことも大きい利益率となった要因ですが、それでもよく売れました。
紙ポイがなくなっても金魚も客も少なくなっても粘り強く商売を続けたスタッフの根性の賜物でしょうか。
反省会に上ロースの他に、スナックのカラオケ25曲も付ける事ができました。
お客さんの1位はやはり13匹。2位が9匹。5匹以上でベスト10入りといった結果でした。
【分析】
●反省
金魚の数は、着荷の瞬間から初日までは500匹にしとけば良かったと後悔していましたが、結果的に400匹がベストだったようです。
ただこんなにまで利益が残ることは考えていなかったので、もう少し持帰りを増やすか、後は単価を下げにゃならないような気がしています。
基本は200円だけど割引率をもっと高くするとか。
持帰り数を増やせば当然500匹とか必要だったのかな。
前述のとおり、見栄えのための姉さんだったわけですが、もっと目を引くリュウキンとかナントカガシラとかいれたらどうなるんだろうかと。来年の検討事項としときます。
ポイは絶対たくさんあったほうがいいです。
できるなら売上予想の5割増から倍。
継続していくつもりなら使いまわせるので無駄にはなりません。
一回ぽっきりの人も可能な限り余裕を持たれることをお勧めします。
以上、小さい苦労はあったものの、準備段階からとても楽しいきんぎょすくい屋でした。
ぷにさん、相原さん、メル/DIさん、武田/ういちさんのアドバイス・体験記のおかげです。
ありがとうございました。
最後に【金魚屋の息子】のページをもっとたくさんの人が見てくれますようにお祈りします。
生業、にわか問わず日本中の金魚すくい屋 万歳!